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シカゴが“建築の街“であることに異論を唱える人はいないだろう。米国建築史、あるいは世界の近代建築史から見ても、シカゴ建築は非常に意味深い。
「マリーナ・シティ・アパート」 (Marina City Towers)
主な設計者名: Bertrand Goldberg
完成年: 1960年
住所: 300 N. State St.
「ロビー邸」(Robie House)
主な設計者名: Frank L. Wright
完成年: 1908年
住所: 5757 S. Woodlawn Ave.
「シアーズ・タワー」(Sears Tower)
主な設計者名: Skidmore, Owings & Merill
完成年: 1974年
住所: 233 S. Wacker Drive
「イリノイ工科大学・クラウンホール」
(Crown Hall, Illinois Institute of Technology)
主な設計者名: Mies van der Rohe
完成年: 1956年
住所: 3360 S. State St.
「トリビューン・タワー」 (Tribune Tower)
主な設計者名: Raymond M.Hood, John M. Howells
完成年: 1924年
住所: 435 N. Michigan Ave.
「ジョン・ハンコック・センター」(John Hancook Center)
主な設計者名: Skidmore, Owings & Merill
完成年: 1970年
住所: 875 N. Michigan Ave.
「リライアンス・ビル」(Reliance Building)
主な設計者名: Burnham and Root
完成年: 1894年
住所: 32 N. State St.
「フェデラル・センター」(Chicago Federal Center)
主な設計者名: Mies van der Rohe
完成年: 1974年
住所: Dearborn St.,bet. Adams and Jackson Sts.
「ライト自邸とスタジオ」 (Frank Lloyd Wright : Home and Studio)
主な設計者名: Frank L. Wright
完成年: 1889年
住所: 951 Chicago Ave., Oak Park
「レイクショア・ドライブ・アパート」(Lake Shore Drive Apartments)
主な設計者名: Mies van der Rohe
完成年: 1951年
住所: 860-880 N. Lake Shore Drive
※シカゴの建築に詳しい選考委員4名(敬称略:伊藤琢、嘉村仁志、ユタカ・タキウラ、土井英樹)にそれぞれシカゴ近郊にある建築物の中からベスト10を選んでもらい、合計得点でランキングを作成した。「米国の建築」ベスト30の中での順位とは少し異なったものになった。
シカゴは1871年の大火で多くの建物が廃墟となったが、その後の急速な復興の過程で、若くて野心のあるビジネスオーナーに抜擢された当時気鋭の建築家が集まり、シカゴ派建築の隆盛へと向かい、1893年に開催されたコロンビア博覧会が大きな転換点となる。F.L.ライトは当初、ルイス・サリバンの事務所に勤めたが、その後、独立して独自の建築観を展開、アメリカを代表する建築家となった。また、1929年の大恐慌を経て、ドイツ・バウハウスで教鞭をとっていたミース・ファン・デル・ローエが1938年にシカゴに移住。ヨーロッパ直系の近代建築を元に、第2次世界大戦の後に第2期シカゴ派建築がスタートし、ミースとその弟子を中心として、60年代に黄金時代を迎える。70年代にかけてジョン・ハンコック・センターやシアーズタワーなど、構造的な挑戦を形に表す建築がシカゴのスカイラインを形作った。
73年のオイルショックによって停滞したものの、歴史的建築物の意味を再認識し、テーマや建材など新旧建築を調和させた流れが生まれ、現代建築の名建築が生まれ続けている。
時代の流れの中で、その時々の状況に挑戦し続けてきた巨匠たちによって生み出された数多くの名建築を味わうことができる街、それがシカゴである。
1. マリーナ・シティ・アパート
シカゴのシンボルとして写真や映画によく取り上げられるトウモロコシ形の2棟の高層住宅。「コンクリートの彫塑性を活かしたトウモロコシの形をしたバルコニー先端の床、柱、梁のデザインがチャーミング」(伊藤氏)。また、「その形だけでなく、スポーツ施設やホテル、劇場など複合施設のさきがけとなったことも注目に値する」(嘉村氏)。都市開発としての完成度の高さも注目に値する。
2. ロビー邸
F.L.ライトが確立したプレーリースタイル(草原住宅)を代表する邸宅。水平線を強調したプレーリースタイルの住宅デザインは、起伏のない中西部の平坦な地形と呼応している。「はね出した庇(ひさし)、日本人スケールの低い天井、仕切りの少ない内部空間は水平方向への広がりを感じさせ、桂離宮の空間構成に通じるところがある」(伊藤氏)。
3. シアーズタワー
シカゴで最も良く知られたビル。高さの違う9つの正四角柱を組み合わせ、束ねた構造。「かつて世界一の高さを誇り、世界最大の量販店シアーズ・ローバックの本社ビルであったという時代を象徴する超高層ビル」(土井氏)。現在、世界第三位となってしまったが、アンテナを含めた高さでは、依然、世界一。また、「デザインそのものへの好みはあるが、超高層建築設計へのさきがけとしてこのビルが及ぼした影響は大きい」(嘉村氏)。
4. クラウンホール
イリノイ工科大学のキャンパス内にあり、「この時代にできた建物とは思えない近代的デザインで、室内に柱のない空間を作り出して点がユニーク」(嘉村氏)。「1950年代、新シカゴ派として米国、そして世界の都市景観を一新した巨匠、ミースの傑作。端正なプロポーションと的確なディテールは、50年たった今でも古さを感じさせない」(滝浦氏)。キャンパスにはこの他にもミースの建築が複数あり、米国の近代建築を楽しむことができる。
5. トリビューン・タワー
全米有数の地方紙・シカゴトリビューン紙の本社ビル。シカゴリバー北側の河畔、ミシガンアヴェニューの通称“マグ二フィセント・マイル”南側入り口に位置し、「ビジネス街から華やかな目抜き通りへと向かう市民や観光客を出迎える様な美しい形で佇んでいる。向かいのリグレー本社ビルの対照的なルネサンス様式建築と相まって絶妙な調和を生み出している。」(土井氏)。米国モダニズムが到来する前に古典様式の最後を飾った建築。
6. ジョン・ハンコック・タワー
高層建築設計の名門SOMシカゴが70年代に最先端の理論と技術を駆使して生み出したビル。台形のビル本体から2本のアンテナが突き出ており、角が付いているような外観。「シアーズタワーと並び、独特の存在感は甲乙付けがたく、シカゴといえばこの2つの建築無しには語れない」(滝浦氏)。「外壁のシャープなカーテンウォールがその垂直性を際立たせているが、周囲の景観を壊すことなく、なじんでいるところが魅力的」(越島氏)。
7. リライアンス・ビル
“シカゴ窓”と呼ばれる大窓に特徴がある、シカゴ派を代表する重要な建物。「軽やかな壁面装飾や張り出した大きなガラス窓が組石造から鉄骨造への大きな技術の変化を物語っている。その美しいプロポーションは、後の高層建築のさきがけとなった」(滝浦氏)。現在、バーナム・ホテルとしてファッションスポットとなっている。
8. フェデラル・センター
ミースが絶妙な都市空間の構成を見せた作品。「連邦政府関係の大型超高層ビル群と集中郵便局の低層棟、その間のプラザ、そこに置かれたカルダーの彫刻に、ミースの磨かれたプロポーション、空間感覚を見ることができる」(滝浦氏)。「カルダー作の赤い鉄の彫刻『フラミンゴ』が広場に構えて、建築と彫刻の対峙がモダンアートのようだ」(伊藤氏)。
9. ライト自邸とスタジオ
米国を代表する建築家・ライトの出世作。「22歳若さのライトが手掛けた自邸には、その後の展開を創造させるような、様々なアイデアが見て取れる」(滝浦氏)。オークパークではライトがその周辺に設計した邸宅群も楽しめる。
10. レイクショア・アパートメント
ミースが設計したガラスと鉄でできた初めてのカーテンウォール工法の高層ビル。「ミシガン湖岸の装飾的なビルが立ち並ぶ中、1951年に突如として現れたこの近代的な建築物は、黒い鉄とガラスとで均質的な表情を持ち、現代の高層建築の模範となった」(広木氏)。「近未来的でソリッドな外観は、半世紀以上経た今でも古さを感じさせず、居住率100%の人気を誇る」(土井氏)。
シカゴ美術館近くにあるシカゴ建築センター(Chicago Architecture Center)から出発するウォーキングツアーやバスや電車のツアー、遊覧船でシカゴ川から建築を眺めるリバー・クルーズ(5月から10月まで運行)など50種類もの建築ツアーがある。また、ダウンタウンから地下鉄で30分の距離にあるオークパークにはF.L.ライトの自邸とスタジオ(Frank Lloyd Wright Home & Studio)がある他、周辺に彼が設計した邸宅が多く残っており、イアホンガイドで解説を聞きながら散策するのも楽しい。ハイドパークにもライト設計のロビー邸がある。
リンク先
★ シカゴ建築センター (Chicago Architecture Center)
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