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レストランやギフトとしてプレゼントする際にワイン選びに苦労することはないだろうか。
何百年もの歴史と伝統によって引き継がれてきたヨーロッパワインに対して、新世界ワインの代表格であるアメリカでは最新の科学と技術を導入し、自由な発想で多様なワインを作り出してきた。ここ数十年で急速にアメリカ産ワインの品質も上がり、洗練された味わいでワインの本場であるフランス・イタリアなどヨーロッパのワインを押しのけて国際的なワインコンクールで賞を取るなど、現在では世界的に評価が高まり、ナパ・バレーやソノマ地区のワイナリーには一年中、多くの観光客が訪れている。 今回、その中で最も人気の高いカリフォルニアを中心とする西海岸の赤ワインを取り上げてみた。 まず、比較的入手しやすく、小売価格で$50程度までの赤ワインで、ブドウの種類、産地、値段などを参考に人気の高いもの30本を候補とし、ニューヨーク、ロサンゼルスで開催した選考委員会で30本のワインを試飲した上で、選考委員11名それぞれに10本を選んでもらい、順位ごとに点数化し、ベスト10を選んだ。
DUCKHORN (http://www.duckhorn.com)
1位の「ダックホーン」(メルロー)は候補のワインの中では最も価格の高い部類に入るが各委員の幅広い支持を集めた。
赤ワインの中では最も消費量が多いメルローだが、このワインは1976年ダン・ダックホーンによって、ナパヴァレーの中心地セント・ヘレナに創られたワイナリーで生産されている。当初は自社畑を持たず、葡萄を買い付けてワインを造っていたが、現在ではカリフォルニアのメルローと言えば「ダックホーン」と言われるほどになった。
「香り・味のバランスが取れている」のは各委員の一致した意見だが、「親しみやすいメルローの味でどんな料理にもあう柔らかさ」(亀井)を持ち、飲み進むと「独特の深みとカリフォルニアワイン特有の甘み」(渡辺)を感じさせ、「ワインの強い個性とクセのある鹿肉がお互いをさらに引立て合いそう」(片山)な深い味わいが魅力。
DAVID BRUCE (http://www.davidbrucewinery.com)
2位は「デービッド・ブルース」(ピノ・ノワール)。医学生時代にワインの魅力に取り付かれた皮膚科医デービッド・ブルースが、シリコン・ヴァレーの南、サンタ・クルーズ山脈の中腹に1960年代に作ったワイナリーで太平洋の寒流とサンタ・クララ・ヴァレーの暖かい空気で発生する霧の影響により、気象条件がピノ・ノアールの栽培に適している。味わいもブルゴーニュに近い複雑さを持ち、「シルクのようになめらかでラズベリーの香りに繊細な味が口当たり良く、初心者にも十分楽しめそう」(池上)。また、「後味のボリューム感」(石黒)と「フルーツの香り豊かで、洋食・和食ともに合わせやすく、値段も手頃で入手しやすい」(大坪)点も高評価につながった。
CHATEAU MONTELENA (http://www.montelena.com)
3位の「シャトー・モンテレーナ」。ナパを南北に走るワイン街道29号線の北限、温泉地としても有名なカリストガ地区にあるワイナリー。1976年にパリで行われた世界博で、アメリカ独立200年を記念して行われた米・仏ワイン対決で、白ワイン部門で1位になったのがここのワイン。しかし白ワインのみならず素晴らしい赤ワインも造っている。ラベルに描かれているツタの絡まるワイナリーの建物も素晴らしいが、葡萄畑の真ん中に美しい東洋庭園を有している。
「まろやかでバランスが取れている」(菅宮)上に、「香りの良さは一番」(亀井)な点が評価された他、「長期熟成にも耐えるが若くしても飲める」(大坪)ことや肉料理との相性は良く、特に「穀物でなく、草を食べて育ったGrass-fedの牛のステーキが合いそう」(片山)との指摘もあり、レストランでの注文時にも選びやすい。
RIDGE LYTTON SPRINGS (http://www.ridgewine.com)
4位は「リッジ」。今、カリフォルニアで最も著名なワイン・メーカーと言われているポール・ドレーパーが作るワインは「大胆で筋肉質のジンファンデルにシラーとカリニャンのブレンドは遊び心があってアメリカ的」(池上)だが、「フルーティーな甘い香りは女性には特にお薦め」(亀井)。さらに、「甘さが嫌味にならず、ボディーを感じつつも、さわやかさすら感じる」(石黒)ほど味わい深く、「食前・食後のワインとしてもおすすめ」(中原)。「これまでの“大味なジンファンデル”のイメージを一転。バニラとメープルシロップの香りもあり、深みのある鴨肉のローストに合いそう」(片山)との指摘も
また、文字だけしか書かれていないスマートなラベルも含めて、「ヨーロッパにないアメリカらしい味は日本へのおみやげとしても喜ばれそう」(菅宮)とのこと。なお、このワイナリーはスタンフォード大学出身者によって大学の南、サンタ・クルーズ山脈のクパティーノ地区に1959年に作られたが、1986年からは日本の大塚製薬が所有している。
HAWK CREST (http://www.cask23.com)
5位の「スタグス・リープ・ホーク・クレスト」。1976年の米・仏ワインの対決で、並みいるボルドーの1級シャトーを退け、赤ワイン部門で1位になったのがこのワイナリーで作られたワインだった。72年の初ヴィンテージから僅か一年後の快挙である。これによりカリフォルニア・ワインが世界中で注目されることになった。「重さと渋みを備えつつもフルーティーな飲み心地はとてもさわやか」(中野)で「味・香りともバランスがとれ、コストパフォーマンスは際立っている」(渡辺)。また、料理には「軽く鮮やかな感じのチェリーとイチジクの風味に、これもいいバランスを与えそうな七面鳥を合わせたくなる」(片山)という味わい。
DOMAINE DROUHIN LAURENE (http://www.domainedrouhin.com)
6位はオレゴンの「ドメイン・ドルーン」。フランス・ブルゴーニュ地方で最も信頼されているワイン会社が、1980年代の後半に、ブルゴーニュの気候に類似しているオレゴンで初めたワイナリーであるDamaine Drouhin は比較的入手しにくく、今回取り上げた中では高価格帯に属するため対象外とする意見もあったが、評価は高くランクインした。
ピノ・ノアールは繊細な葡萄で、原産地のブルゴーニュ以外では栽培は非常に難しいとされているが、本場に劣らない素晴らしいワインを造っている。
「ピノ・ノワールならではの軽さとスパイシーさをバランスよく持ち合わせたワイン」(中野)で 「新しい畳のようなさわやかさと、脂肪の少ないうずら肉の軽やかさが合いそう」(片山)とのこと。
ROBERT MONDAVI OAKVILLE DISTRICT (http://www.robertmondavi.com)
HEITZ (http://www.heitzcellar.com)
7位は「ロバート・モンダヴィ」と「ハイツ」が並んだ。
「ロバート・モンダヴィ」は一世を風靡したワイン。経営権は数年前に世界最大のワイン会社、コンステレーショングループが取得。高級ワインも多くつくるが手頃なワインも数多く日本でも有名。「後味がとてもマイルドでさわやか」(中野)で飲みやすい点が特徴。
一方、「ハイツ」はカリフォルニア大学デービス校で、ワイン醸造学を学んだハイツ兄弟によって1961年に設立されたワイナリーで長期熟成型の素晴らしいカベルネ・ソービニオンを作ることで有名になった。「タンニンの渋さと果実味がまろやかに調和し、後口はさわやか」(関根)なワイン。
NAPANOOK (http://www.dominusestate.com)
9位は「ナパヌック」。クリスチャン・モエックスがボルドー品種により1996年より造っている比較的新しいワイン。彼の実家はボルドーの著名なワイン商社で、ポムロールのシャトー・ペトリュスを保有していることでも有名。長期熟成を待たず、若くして楽しむことができ、「口に含んだ時にしっかりとしたプラムの香りと後味のさわやかさ」(関根さん)と「ラベル同様、楽しくなるような複雑に広がる香りと味」(込山)が魅力。
CLOS DU VAL (http://www.closducval.com)
AU BON CLIMAT (http://www.aubonclimat.com)
10位も「クロ・デュ・ヴァル」と「オ・ボン・クリマ」が同点で並んだ。
「クロ・デュ・ヴァル」は1072年にニューヨークのビジネスマンが、フランス人を醸造責任者に迎え入れてスタートしたワイナリーである。主に、カベルネとジンファンデルにより、ボルドータイプの長期熟成型ワインを造っている。「カベルネ特有のクロブドウの香りが素晴らしく」(中原)、柔らかいがしっかりとした深みを感じさせる点が持ち味。
「オ・ボン・クリマ」はサンタバーバラ地方で1982年に創設されたワイナリー。早くからブルゴーニュの醸造技術を取り入れ、カリフォルニアでも有数のピノ・ノアールを造っている。「日本人の食生活に最もフィットする」(石黒さん)タイプで、「週末のパーティーで最初の1本に飲みたい」(込山)雰囲気にさせるワインでもある。
CHALONE (http://www.chalonevineyard.com)
12位は「シャローン」。このワイナリーがあるモントレー郡サリナスはモントレー湾から吹き寄せる太平洋の冷たい空気と、フランス・ブルゴーニュ地方と同じ石灰岩の土壌のため、シャルドネ、ピノ・ノワール種に最適の土壌である。「すき焼きやモツ煮込みなど醤油味の肉料理にも合い」(関根)、手頃な価格が評価された。
FROG'S LEAP (http://www.frogsleap.com)
13位は「フロッグス・リープ」。蛙が跳んでいるユーモラスなラベルはとてもアメリカ的。創業者のジョン・ウィリアムスはオーガニック栽培の推進者で、化学薬品を一切使用しないことでも有名なこのワインは「杉のようなスパイシーな香りを感じさせ男性的なノーズなのに女性的な舌触り」(片山)を持つという不思議な魅力を持つワイン。
BEAULIEU-BV RUTHERFORD (http://www.bvwines.com)
14位は「BV」。アメリカでワイン醸造に携わる者は、何らかの形で影響を受けていると言われている故アンドレ・チェリチェフがこのワイナリーの醸造責任者を長く務めていた。「カラメルの風味とバタースコッチの味わい」(片山)で、「カベルネの良さを残しながらオードブルなどにも合うやさしさ」(関根)を感じさせるワイン。
CHATEAU STE. MICHELLE INDIAN WELLS (http://www.ste-michelle.com)
カリフォルニアに続いて全米第2位の生産高を誇るワシントン州で最も古く最も有名な ワイナリーで作り出されるワインは「赤りんごの風味のさっぱり感」(片山)に特徴 があり、「まろやかでコストパフォーマンスは一番」(菅宮)。まさに、「フランス ワインとカリフォルニアワインの両者の良さを取り入れているワシントン州を代表す るワイン」(大坪)である。
ランキングを集計してみると上位は比較的まとまったものの、下位は各選考委員の好みが反映してかなりばらつきがでた。やはりワインは個人の好みが大きく左右する飲み物と言える。このワインランキングを参考に、あなたもお気に入りのワインを捜してみてはいかがだろうか。
なお、ワインは生産された年によって値段が違い、また地域によって入手しにくかったり、店により値段が大きく異なっていたりする場合がある。ワインの検索サイト(www.wine-searcher.comなど)を利用すると見つけやすい。
*ビンテージについて
ビンテージ(ぶどう収穫年度)という概念の強いフランスワインは天候によってぶどうの出来が左右されても、そのまま収穫・醸造され、年によってのワインの出来・不出来が少なからず表れます。
一方、アメリカ西海岸は気候が安定していると共に、ぶどう栽培における法制化がフランスほど厳密でなく、また人為的なテクノロジーでワインを醸造するため、質の違いはごく僅かと言って良いでしょう。従って、アメリカではビンテージという概念がさほど強くはありません。年度ごとのワインの出来、不出来を論じるよりも、あとどの位で飲み頃のピークを過ぎていくかの指針程度にした方が良いでしょう。(石黒孝一)
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